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empower channel#4  Sさん(後編)インタビュ-書き起こし全文

empower channel #4 Sさん インタビュー書きおこし(後編)

※インタビュアー:わねざきいくえ

 

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わ)所得が多かったから気付かなかった税金のこと教えてください。

 

S)控除のことですね。

元々仕事を一生懸命やってたので、所得がその時は、多分普通の一般女性に比べると多分倍ぐらいもらえてだと思うんですけれども、息子の病気をきっかけにフルで働けなくなって パートに変わったんですけれど・・・

 

そのまま年末調整をする時にチェックをする項目の中に「寡婦」っていうところで「死別か離別か」っていうのがあって・・・

 

私はそれに当てはまらないのでチェックをつけないで本社の方に出してたんですけど、そしたら本社の方から連絡があって「お子さんいますよね」って。

子供の保険証も一緒にあるので「死別ですか?離別ですか?」って聞かれたんですけど「どっちでもないんです」っていう話をして、

「どっちでもないってどういうことですか」「なんでそうなったんですか」とか色々聞かれて、

「それって話さないといけないことなんですか?」っていう風なやりとりになって

「そもそも寡婦控除ってだいたい何なんですか?」っていう話になったんです。

 

訪ねてきた経理の人も、それはよくわからないらしくて「じゃあ死別でも離別でもないんですね、じゃあいいです」みたいな感じで終わってしまって。

 

そこから「あれ?寡婦控除ってなんだろう」って思って、自分でインターネットで色々調べるようになったら、

寡婦控除を受けられるか受けられないかで35万とかのその控除があるって言うことを知って、それが所得税とか住民税とか非課税世帯になれるか・なれないかっていうのにも直結してるんだっていうことがわかって。

 

1日でも籍入れて離婚したら寡婦控除適用なのに、子供がいるのにただ籍を入れてなかっただけでその対象にならないっていうことに、すごく疑問を持って・・どうしようって思ったのが、まずきっかけです。

調べていく中で署名活動をしているサイトっていうのを見つけて、とにかくその思いの丈をぶつけようって風に思って署名を書いて立ち上げたのがスタートになります。

 

 

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ー署名の立ち上げー 

 

S)未婚のひとり親に寡婦控除が適用にならないっていうところに、すごく疑問を抱いて色々調べていくうちに、

寡婦控除を未婚のひとり親にも認めよう」っていう風に活動されている団体さんとか政治家さん達がいらっしゃって、

自分が立ち上げた署名の URL をメッセージと共に、もうとにかく手当たり次第、

1日に20人30人、あらゆる手段を使って 、Facebook であったり Twitter であったりブログであったり友人を介して広めてもらったりしながら、ひとり親のそのサイトみたいなそのコミュニティみたいなところでシェアをしていったりとかをしていって。

 

最初は全然署名も集まらなかったし賛同もあまり得られなかったし、政治家さんたちにメールを送っても送っても、一向に返事は誰一人もなくって。

 

その中で署名を見て賛同してくれた方のコメントが、、、

やっぱり、私は無知で、ゼロから始めたのであまりよくわからないまま感情のままに署名をばーっと作ってしまったので、、

「ここはこうだよ」とか「これはそうじゃないよ」とか結構適切なコメントくれる方が、少ない賛同者の中だからこそかもしれないんですけどすごくいらっしゃって、

そこで私が署名の中で進捗状況とかコメント欄とか返信とかのやり取りの中で、色々また作り変えたり変えていったりとかしてたんですよね。

 

 

そしたらその中で、ある方とつながって、

その方がまた別のことで某新聞社さんから取材を受けたことがあって、その取材を受けた新聞社の方を紹介してくださって。

それからその新聞に取材をしてもらってそのことを記事にしてもらえたんです。

 

これも本当にタイミングだと思うんですけど、国会の議論の中で「未婚ひとり親も寡婦控除に加えた方がいいんじゃないか」っていうような動きがずっとあってたっていうのも、一つのその新聞に取り上げられた理由だったと思うんです。

 

そうしているうちに、私が、多分何百人ってメッセージを色々送ったと思うんですけど、唯一まともに返事をしてくれた議員さんが一人いらっしゃって、

その方がたまたま与党の方で

「未婚ひとり親にも寡婦控除を適用しましょう」

っていうのを推奨しているところの議員さんだったんです。

 

そこからまた話が発展して、その方は地方なのでこっちに来ることが難しいということで、同じその政党のこちらの県出身の議員さんを紹介してくれて、その方との会談の場を設けてくださったり、、、そういう風にしながら、署名の中身を、いろんな方からのコメント頂いた中で作り変えていけば行くほど、どんどんシェアしていただく回数が増えていって、どんどんどんどん署名の賛同者数が、、

最初は3人とか8人とか50人とかだったのが1000人になり5000人になり1万人になり・・となっていって。

 

そういう中でその賛同してくださる団体さんもいて。

 

私は署名が集まって「じゃ提出に行こう」ってなったとしても「訴えかけよう」ってなってもお金がないので「東京に行って署名を提出します」とかっていうのができないので、それを、賛同団体の方であったり、、、

 

たまたまその署名活動を行ったサイトでも今取り上げられている寡婦控除についての問題についてはやっぱりちょっと取り上げたかったっていうところもあったみたいで、

そのサイトの方も協力してくれるっていう幸運もあって、、、

また、東京に住んでいる未婚ひとり親の方も「じゃ私の代わりに署名を届けてあげます」って言ってくださった方もいて、、、

 

国会でその税制会長さんに対して、その署名を届けたり、厚労省とか、財務省とかにも署名を届けたり。

 

それに対してその記者会見をするっていうところでは、私のコメントを代表して東京にいらっしゃる未婚ひとり親の方が発言してくださったりとかして私の代弁になってくださる方とか、署名を作るにあたってその文章を一緒に作り上げてくださった方々がいて。

 

もう本当に幸運が重なったっていうのもあって、今、成功と言うか、署名を提出して翌年に所得税法の改正、その翌年に住民税上の方の非課税世帯に対することに対しての改正とともに、当初、所得税法が改正される時には、寡婦控除という名前は変えない、と。ー私は「ひとり親控除」というふうにしてほしいっていうのも一つの訴えではあったんですけどー その時は「ひとり親控除」という名称は使わないけれども、所得税法とその男女のその所得の差をなくすっていうところだけでストップしてたんですけど。

そのまた翌年に住民税であったりとか、要は非課税世帯にも未婚ひとり親も含めると。

 

それに伴い「ひとり親控除」という控除名を設立するということが決まったので・・

署名を開始して提出するまでがだいたい一年半近く。

署名を提出してからこの全て私が訴えていた所得税法・住民税・男女平等・ひとり親控除という名称っていうものが全て叶ったのが、提出してから2年後という形になるので、トータルすると4年半ぐらい。  

 

やっぱりいろんな人からの助けがあったりとか、メッセージとか応援してくださる方とか同じ境遇の方のコメントとか「お互い頑張りましょう」とか「応援してます」とか、

私が無知がゆえに始めたことに対して「そう書くとこういう風に取られるからこういう風に書き直したほうがいいよ」とか、たくさんの人のアドバイスと応援があってたので、自分ひとりで出来たとは思ってなくて。

 

多分ひとりでポツンとやってるだけで、コメントも読まずにただ突っ走ってたら絶対こんなことにはなってない。

 

一人賛同してくれても5人賛同してくれても、

コメントがひとつついた、みっつついた、10個ついた、と、

全部に目を通して全部に返信をして、

その中で文章がまとまって、

分かりづらかった人に伝えにくかった・理解してもらいづらかった文章が、

人に理解されやすく・いかにわかりやすく端的に何を訴えてるのか、っていうのを、

見てもらえる・読もうかなと思ってもらえる署名にすることができた。

 

それは本当に皆さんの助けがあったからだと本当に感謝してます。

 

 

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わ)署名を立ち上げる前と後で、ご自身は何か変わりましたか?

 

S)やっぱり「未婚ひとり親」ってものすごく世間体的に立場が弱いというか、悪いことというか・・・

実際言われたことでもあるんですけど「アバズレ」とか、

ちょっと言うのが嫌なんですけど「股が緩い」とか、

「誰にでもやらせるんだろう」みたいなのとかっていうのがあって。

 

実際、自分にもそういうのがあって、

やっぱり「恥ずかしいことだ」ってずっと思ってました。

 

私は自分の周りに未婚ひとり親が一人もいなかったのでホントつらかった・肩身が狭かった・堂々と表を歩いちゃいけないんだ、と思ったんだけど・・・。

 

賛同して下さって、その上コメントを下さった方々が

「実は私もなんです」とか、もしくは、僕も実は婚約してた彼女がいて、お腹に子供もいたんだけど交通事故で彼女が亡くなられたそうで、お子さんは生きてたらしいんですが、そうした未婚の父子家庭の方もいらっしゃって。

 

もしくは「自分が子供が産まれないんだけど養護施設から子供を引き取って今一生懸命育てにかわいがってるんです」とか、

そういう方達にも、もちろん寡婦控除は適用されないので、やっぱり税制の上ですごく差別を受けていた。

 

特に男性に関しては、所得制限とかも厳しかったみたいで、

本来の寡婦であった離婚して旦那さんが若奥さんを引き取った寡婦だったとしても、

その控除額の差っていうのもあったりとか、

所得によってとかがあったみたいなんですけど、

そこが全て、未婚であろうと母子であろうと父子であろうと離婚であろうと引き取って養子を迎えた方であったとしても平等になったっていうことで。

 

その他の賛同した方が、他の方のコメントを読んで

「自分だけじゃないんだ」

「意外とこんなにいっぱいいるんだ」

って・・そんなにいっぱいいると思わなかったです。

 

自分が想像してなかった境遇の方、

自分が女性の体で生まれたけれども男性の気持ちを持ってらっしゃる方とか、

逆に男性に生まれたけれども心が女性ですごく子供が欲しいって言う方とか、

ほんとにもう同じようにその未婚ひとり親同じように除外されてたんですけど、

でもそういった方でも一人で子供を育てていく大変さっていうのは、やっぱり変わらないので、

そこが平等になった事っていうことはもちろんなんですけど、

「自分だけじゃないんだ」って思えたのがやっぱり一番大きかった。

 

それからは「私、未婚ひとり親なんです。」って堂々と言えるようになりました。

 

 

 

 

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